2013年7月17日水曜日

OB「岩波茂雄ゆかりの『こころ』を読む」聴講レポート!

去る6月29日(土)長野県諏訪市の諏訪市図書館で諏訪市教育委員会「生涯学習講演会」―岩波書店創業100周年・諏訪市立信州風樹文庫新築20周年―「岩波茂雄ゆかりの『こころ』を読む」~近代日本文学の楽しみ方~が開催されました!

講演会場の諏訪市図書館

諏訪市図書館1階のインフォメーションコーナー。
岩波文庫の装丁は現在でも漱石自装の表紙
(オレンジ色の部分)がデザイン化されている。

同講演会では、信州大学・人文学部・准教授の松本和也氏が、旧制・日本中学校(現・日本学園)OB岩波茂雄と故郷・諏訪について、岩波書店の原点である夏目漱石『こころ』の出版、夏目漱石と岩波茂雄の子弟関係、さらに身近な作品でありながら数々の謎を秘めた『こころ』の解釈など、さまざまなテーマを分かりやすく解説してくださいました。

講演会は岩波茂雄のプロフィール解説からスタート。

信州大学・人文学部・准教授の松本和也氏。
夏目漱石・太宰治などの作家・作品研究をリードされています。

岩波茂雄の経歴紹介では日本中学校の名前も登場。また、『こころ』の出版に当たり、岩波茂雄は出版費用を単純に漱石の負担としたのではなく、最初の費用は漱石が一切を負担し、岩波書店はこれを償却していき、それが済んだ後は半期ごとに利益を折半したこと。『こころ』を出版できるうれしさのあまり、装丁も紙も予算をかけて立派な本にしようとした岩波を漱石が戒め、題字・朱印など、すべて自分で考案した自装本としたこと。『漱石全集』出版のイニシアチブを取ったことで読者の信頼を獲得し、それが出版業界における岩波書店のブランドバリューを認めさせる有力な武器となったことなど、文学と実業の世界をリンクさせた興味深いエピソードも披露されました。

向学心の高いシニア層を中心に満員御礼!さすが長野県は教育県!
ハイレベルかつ分かりやすい講義でした。在校生諸君にも聞かせたかった・・・

諏訪市教育委員会と諏訪市立「信州風樹文庫」では、この秋も新築20周年を記念したイベントを計画されているとのこと。出版王国・信州の名声を揺るぎないものにした日本学園OB岩波茂雄、その努力と功績は100年の時を超えて、これからも本を読む楽しさを教えてくれることでしょう。

諏訪市立信州風樹文庫・訪問レポートはこちら!
http://baisoukai.blogspot.jp/2013/01/ob.html

岩波書店・創業百年記念HPはこちら!
創業百年記念フェア「読者が選ぶこの一冊」で『こころ』(文庫部門)が第1位に決定!
http://www.iwanami.co.jp/100th/index.html

梅窓会 広報部会 S56卒 永澤

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